文章を書く時、ライターの皆さんはさまざまな接続詞を使っているのではないでしょうか。
接続詞は、前後の文章や語句をつなぐ言葉です。
脇役のようなイメージがありますが、適切に使えば読者にきちんと伝わる文章が書ける一方、適切に使えないと伝わりにくい文章になってしまいます。
簡単そうに思えて使い方が難しいのが、接続詞です。
そこで今回は、接続詞を適切に使うための4つのポイントをお伝えします。
接続詞の役割
まず接続詞の役割について押さえておきましょう。
接続詞の最も大きな役割は、前後の文章の関係性を示し、論理を明確にすることです。
次の文章を読んでみてください。
A)必死になって受験勉強をした。だから、合格した。
B)必死になって受験勉強をした。しかし、不合格だった。
A)の「だから」は、順接の接続詞です。
順接の接続詞は、前の文章の当然の結果として後の文章を示すため、「だから」までを読んだ時点で「合格する」という結果を予測できます。
B)の「しかし」は、逆接の接続詞です。
逆接の接続詞は、前の文章と相反する内容を後の文章で示すため、「しかし」までを読んだ時点で「不合格」という結果を予測できます。
このように、接続詞によって前後の文章の関係が自然と分かり、論理がはっきりします。
言ってみれば、接続詞は次の文章の行き先を示す案内役のような役割を担っているのです。
接続詞の種類
続いて、接続詞の種類について見ておきます。
接続詞には、「順接」「逆接」をはじめ多くの種類があります。
代表的な接続詞の種類と働きは、以下のとおり。
種類 | 働き | 例 |
---|---|---|
順接 | 前の文章の当然の結果として後の文章を示す | だから、したがって、それで |
逆接 | 前の文章と相反する内容を後の文章で示す | しかし、ところが、けれども |
付加 | 前の文章に付け加える | そして、それから |
対比 | 前後の文章を対比させる | 一方、逆に |
言い換え | 前の文章の内容を別の言葉で述べる | つまり、すなわち |
理由 | 前の文章の理由を説明する | なぜなら、というのは |
並列 | 2つ以上の事柄を並べて述べる | また、および |
このほかにもさまざまな接続詞があります。
多くの接続詞を知っていれば、文章の内容や流れに応じて使い分けられますので、どのような接続詞があるかぜひ学んでおきましょう。
接続詞の勉強におすすめなのが、山口拓朗さんの本『文章が劇的にウマくなる「接続詞」』です。
接続詞の使い方が種類別に分かりやすく解説されていますので、参考にしてください。
接続詞を適切に使うための4つのポイント
接続詞を適切に使うことは、良い文章を執筆するための必須スキルといえます。
そこで、ここからは接続詞を適切に使うための4つのポイントをお伝えします。
①接続詞の使いすぎに注意
接続詞は、文章の流れをつくるために必要なものですが、使いすぎると読みにくくなります。
次の文章を読んでみてください。
今日は朝から晴れている。
だから、洗濯物が乾きやすいだろう。
そこで、洗濯をすることにした。
なぜなら、洗濯物がたまっているからだ。
一文ごとに接続詞があって、読みにくいですよね。
では、このように変えたらどうでしょうか。
今日は朝から晴れている。洗濯物が乾きやすいだろう。
そこで、洗濯をすることにした。
洗濯物がたまっているからだ。
「だから」と「なぜなら」を削りましたが、意味は分かりますよね。
接続詞は削っても意味が通じることが多いです。意味が通じるならば、なるべく削りましょう。
②逆接の接続詞は残す
接続詞の使いすぎはよくありませんが、逆接の接続詞は残しましょう。
逆接の接続詞がなくなると、意味がつながらず分かりにくくなるからです。
次の文章を読んでみてください。
A)きのう夜更かしをしました。頑張って早起きをしました。
B)きのう夜更かしをしました。しかし、頑張って早起きをしました。
B)でも意味が分からなくなるわけではありませんが、「しかし」を入れたほうが、逆接であることが明確になります。
③書き言葉の接続詞を使う
私たちが使っている言葉には話し言葉と書き言葉があるように、接続詞にも話し言葉と書き言葉があります。
文章を書く時は、接続詞も書き言葉を使うようにしましょう。
例えば、
逆接の接続詞「しかし」「でも」「ところが」のうち、話し言葉はどれか分かりますか。
正解は「でも」です。
「でも」は普段の会話でよく使うため、文章でもつい使ってしまいがちですが、文章を書く時は「しかし」「ところが」などの書き言葉に置き換えましょう。
ほかに「だから」「なので」「あと」なども話し言葉です。
「だから」「なので」は、「そのため」「したがって」など
「あと」は、「それから」「さらに」など
に置き換えましょう。
④接続詞の後には「読点(、)」を打つ
接続詞の後には、原則として「読点(、)」を打ちます。
接続詞であることがはっきりして、文章の意味がより的確に伝わるからです。
次の文章を読んでみてください。
A)会社帰りに新しいカフェを見つけました。そこでコーヒーを飲みました。
B)会社帰りに新しいカフェを見つけました。そこで、コーヒーを飲みました。
「そこで」には、
A)のように、場所を表す「そこで」
B)のように、順接の接続詞の「そこで」
があります。
接続詞であることを明確に示したい場合は、「読点(、)」を打ったほうが文章の意味が伝わりやすくなります。
まとめ
今回は、接続詞を適切に使うための4つのポイントをお伝えしました。
接続詞は種類が多いうえ、働きやニュアンスもそれぞれ異なるため、使いこなすのは本当に難しいです。
逆に、接続詞の使い方をマスターすれば、読み手にきちんと伝わる論理的な文章が書けるともいえます。
ご紹介した4点はどれも基本的なポイントですが、これらを意識するだけでもうまく書けるようになります。
文章を書く時は、ぜひこの4つのポイントを思い出してみてください。